📈高耐圧液冷モジュール市場の急成長と注目すべき日本企業を調べてみた
次世代インフラを支える「液冷」技術の台頭
近年、AI、クラウドコンピューティング、5Gといった高負荷な処理を伴う技術の進化により、
データセンターの消費電力と発熱量は爆発的に増加しています。
これまでの空冷システムでは対応しきれない熱密度の上昇は、機器の故障リスクを高め、運用コストの増大を招く深刻な問題となっています。
この課題を解決する切り札として、高い冷却効率と省エネルギー性を誇る「液冷技術」、特に電気自動車(EV)や産業機器にも応用される「高耐圧液冷モジュール」が世界的に注目を集めています。
日本企業は、素材技術や精密加工技術において強みを持っており、この成長市場で重要な役割を果たすことが期待されています。
本記事では、この高耐圧液冷モジュール市場の概況を解説するとともに、関連する主要な日本企業と、その成長性について深く掘り下げて分析します。

注目企業一覧(日本)
日本の高耐圧液冷モジュール市場、および関連する冷却・放熱技術において、特に注目すべき企業をまとめます。

市場分析:成長予測と主要な課題
1. 市場の成長予測と課題
✅ 成長予測:CAGR 11.6%で市場は拡大
日本のデータセンター冷却市場は、2024年に25億米ドルと評価され、2025年から2033年にかけて年平均成長率(CAGR)11.6%で成長し、2033年までに69億米ドルに達すると予測されています。
この成長は、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングなどの最新技術に後押しされた、持続可能で効果的な冷却ソリューションへの高い需要に支えられています。
液冷技術は、ハイパースケールやエンタープライズ施設の消費電力を削減し、信頼性を向上させる手段として、採用が加速しています。
NTTによる液冷試験開始や、ケッペルと三井不動産による液体冷却をサポートするAI対応ハイパースケール施設の発表など、具体的な動きも活発化しています。

⚠️ 業界が抱える主要な課題
液冷モジュール市場の力強い成長にもかかわらず、以下のような課題が存在します。
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初期コストの高さ: モジュール型データセンターは長期的な経費を削減できる一方で、初期投資が高額になる可能性があります。
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規制への対応: データ主権やエネルギー効率に関する厳しい規制があり、事業者は慎重な計画と対応が求められます。日本は「2050年カーボン・ニュートラル」達成の責任があるため、データセンター事業者にはエネルギー効率の高い冷却技術の採用が強く求められています。
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認知度の低さ・技術の相互運用性: 一部の企業は新しいソリューションになじみがないため採用をためらう傾向があるほか、異なる機器間での相互運用性の課題にも対処する必要があります。
2. 今後の株価上昇候補に関する見解(長期成長性)
上記企業のうち、長期的な成長が見込まれる銘柄候補を以下の通り選定します。
これらは、単に液冷モジュールという部品を提供するだけでなく、その技術を応用・展開できる強固な事業基盤を持つ企業です。
ミネベアミツミ(6479)
高効率モーターや電源ソリューションは、液冷システム全体の効率化に不可欠な基幹部品です。EV・データセンター向けという明確な成長市場への注力と、2029年3月期に向けた具体的な収益性向上目標があり、長期的な成長ポテンシャルが高いと評価できます。
富士電機(6504)
パワー半導体のリーディングカンパニーとして、高耐圧モジュールの冷却設計ノウハウは非常に貴重です。EV市場の拡大は確実であり、その冷却技術の優位性は、データセンター向けにも横展開が容易であるため、技術的なシナジー効果が期待できます。
IHI(7013)
大型インフラやエネルギー分野での熱交換・熱管理技術は、ハイパースケールデータセンター向けの大規模液冷インフラ構築において競争優位性となります。カーボンニュートラルへの貢献という長期テーマに合致しており、息の長い成長が見込めます。
結論:液冷モジュールが切り拓く日本の技術革新
高耐圧液冷モジュールは、高性能コンピューティングと持続可能な社会を実現するために欠かせないキーテクノロジーです。
日本の企業が持つ精密部品、高機能素材、およびパワーエレクトロニクスに関する高い技術力は、この市場のボトルネック(冷却効率、省エネ化)を解消する鍵となります。
短期的な市場の波だけでなく、長期的な視点で見ると、AIや脱炭素化といった巨大なマクロトレンドを背景に、液冷関連技術に投資し、具体的なソリューションを提供できる企業が、今後数年にわたって高い成長を遂げる可能性が高いでしょう。

