2026年、ドローンは「実証」から「実装」へ
2026年の日本において、ドローン産業は大きな転換点を迎えています。有人地帯での目視外飛行(レベル4)の解禁から3年が経過し、物流、インフラ点検、災害対応の現場ではドローンの活用が「当たり前」の光景となりつつあります。
特に、経済安全保障の観点から「国産ドローン」への回帰が鮮明となっており、政府の強力な支援を背景に、関連企業の受注残高は飛躍的に増加しています。
2028年には国内市場規模が9,000億円を超えると予測されており、投資対象としての注目度も最高潮に達しています。

主要上場銘柄・新興リーダー企業分析
ドローン専業または関連事業を柱とする主要な上場企業を分析します。
| 企業名(コード) | 主な事業内容 | 成長性・注目度 | 株価・財務トピック |
| ACSL (6072) | 国産小型空撮機「蒼天(SOTEN)」の開発・販売 | 日本を代表する専業メーカー。経済安保を追い風に米国市場でも大型受注を獲得。 | 米国子会社が2026年3月までに4.5億円規模の受注。海外売上比率の上昇が鍵。 |
| Liberaware (218A) | 狭所・屋内点検用小型ドローン「IBIS」 | 煙突や下水道など、GPSが届かない屋内点検で世界的な強み。 | 2024年に上場。2026年7月期は年率60%程度の成長を目標に据え、経常黒字化を目指す。 |
| Terra Drone (278A) | 運航管理システム(UTM)・海外点検事業 | 世界2位のドローンサービスプロバイダー。運行管理のプラットフォームで覇権を狙う。 | 2025年前後に上場(278A)。2026年1月期の売上高は30億円規模に成長し、グローバル展開を加速。 |
| ブルーイノベーション (5597) | ドローンポート・システム統合プラットフォーム | 「SORA-MIC」による複数のドローン管理・自動離着陸技術。 | インフラ点検や物流向けポートの量産化を2027年に控え、2026年は社会実装の最終段階。 |

注目すべき非上場スタートアップ企業
上場はしていないものの、独自の技術で市場を牽引する有望スタートアップです。
① エアロネクスト (Aeronext)
- 強み: 機体の重心を制御する独自の構造技術「4D GRAVITY®」を保有。
- 動向: 物流ドローンの安定性を飛躍的に高め、セイノーホールディングス等と連携して「新スマート物流」の構築を全国で進めています。

② VFR株式会社
- 強み: VAIOから継承した高度なPC設計・製造技術をドローンに応用。
- 動向: 国産ドローンの量産化・OEM受託のプラットフォームとして、ブルーイノベーション等と連携し「量産体制の構築」をリードしています。

③ 株式会社PRODRONE (プロドローン)
- 強み: 50kg以上の重量物を運べる大型機や、水空両用機などの「高機能・大型機」の設計能力。
- 動向: 産業用ドローンの「特殊車両」的な立ち位置で、防衛や大規模災害対応など、高付加価値なニッチ市場で独占的な地位を築いています。

4. 市場分析:2026年の注目テーマと課題
成長を牽引するキーワード
- レベル4飛行の本格化: 都市部での配送や警備が現実のものとなり、運航管理(UTM)を提供するTerra Droneなどのプラットフォーム企業に注目が集まっています。
- 経済安全保障: 中国製ドローンの排除が進む政府・自治体市場において、ACSLやLiberawareなどの「セキュアな国産機」への置き換え需要が加速しています。
- 労働力不足の解決策: 建設現場の点検や農薬散布の自動化が加速。特にLiberawareが得意とする「狭所点検」は、人手不足の現場で不可欠な存在となっています。
業界の課題
- コスト競争力: 中国製機体に対し、国産機はいまだ価格面で不利。量産効果によるコストダウンが急務です。
- 電力・バッテリー: 長時間飛行を可能にする次世代電池や、水素燃料電池ドローンの実用化が、さらなる市場拡大のトリガーとなります。
5. 結論:成長候補銘柄への見解
2026年時点での投資・注目視点として、以下の2方向が考えられます。
- 「中長期のグローバル成長」を狙うなら: ACSL。米国市場での成功は、日本のドローンメーカーが「世界に通用する」ことを証明する試金石となります。
- 「確実な収益化と独自性」を狙うなら: Liberaware。屋内点検という、競合が極めて少ない「ブルーオーシャン」での圧倒的なシェアと、リピート性の高いサービス型ビジネスモデルが強みです。

ドローン市場は今、かつてのスマートフォンが登場した直後のような、爆発的な普及の入り口に立っています。技術の進化と規制緩和が噛み合う2026年は、真の「勝者」が浮き彫りになる年となるでしょう。
